さていよいよ愚者の旅の終わり、21、「世界」だ。
20で終わらずに21になっているんだよなあ。

占いで出てくると、「完璧」「完全」「ベストエンディング」「完成」といった、とにかくパーフェクトな意味となる。文句つけようがないっすわーといったところだ。
図像を見ていこう。
中央の女性は運命の女神フォルトゥナであるとも言われるし、すべてを手に入れた両性具有の存在であるとも言われる。胸はあるけど股間、見えないからね。シュレディンガーのなんとかだね。
あと両手に持っているのは、「魔術師」の持っていたワンド。

「1 魔術師」では一本だった魔法の杖が「21」に至ることで2本に増えている。月桂樹の輪の赤いリボンは魔術師や「力」の乙女の頭上にあったインフィニティマーク。つまり、無限の勝利。
で、「世界」の四隅の四神は、ここで出てきてる。

天使、鷲、牛、獅子。「運命の輪」では本を読んで勉強中だった彼らもお勉強が完了して自信に満ちた顔つきをしている。作画も変わった、長期連載あるあるだ。
なおこの輪もフォルトゥナがモデルらしいけど、輪なのか両性具有なのかはっきりしてほしい。付喪神的な感じで人間体になったんだろうか。
愚者からの旅はここで結実する。タロットカードの大アルカナ22枚は、「世界」のありようを示す。全部をぐちゃぐちゃに混ぜた状態は世界のカオス。0の愚者でもなく、13の死からの14、節制でなく、太陽でもなく、ここで本当に完成に至る。ひとりの人生という世界が完成されて宇宙になり、なんでも思うがままにかなえられるようになる。宇宙と同一の存在になる。
SFで、世界のすべては自分の妄想が作り出した世界で、悩みも喜びもすべて自分が考えたものである、という設定のジャンルがそこそこある。やましたたろー君も「かなしいも、うれしいも、全部あたまのなかにしかない」みたいなことを言っていた。
ジャングルの奥地で絶滅寸前種の最後の一匹が滅んでも、それは観測者がいなければ悲劇ではない。知った人間が悲しいと思えばそれは悲劇になる。全ては自分の中にある、そこに至る。ハム子はさ…ユニバースなんだよ…(まだいう)
そこからようやく始まるともいえる。少女革命ウテナの最終話のようである。ようやく卵の殻を破ったような。
全裸かつ魔法の杖二刀流、赤いインフィニティでくくられた月桂冠の輪の中、レベルアップ完了後の四神というパトロンを得たこのカードはまさに完成形。
むろん、占いで出てきたときはパーフェクトな勝利と幸福を意味する。太陽とちがうのは、あくまでそういう能力が備わった、という太陽よりも超越しているところか。
ペルソナ3は13の死神で終わる物語だけど、その新約といえるP3Pにおいて追加された女主人公はアルカナとしてたどる道が大きく変更されていて、彼女が至る場所は死神ではなくこの「世界」、ゲーム内でユニヴァースと呼ばれる存在なんだよなあ…と思っている。
男主人公であるキタローの物語はあまり好きになれないが、女主人公ハム子の物語は本当、いいんですわ…
ところで「0 愚者」だけど、

これ、ホームレスとも異世界の王子とも言われてる彼だけども、わたしの愚者解説で「いきなり左をむいてる、まさに愚者」とご説明したのを覚えているだろうか。
しかしタロットがメビウスの輪のようなループ世界だとすると、0から21まで右側にならべていって、最後の世界と愚者でまたわっかになるようにつなげると、愚者が見ているのは世界の姿ということになる。
「フール」というこれは、タロットがのちのトランプになる過程で「ジョーカー」になるんだけど、ジョーカーはすべてのカードの代用になりうる、つまりゼロはなんにでもなれる、ということでもある。愚者は本当にいきなり進行方向を間違えていただけなのか?
あー、バカがいるわー、と笑っていた方こそが愚者なのでは?
あと彼、「太陽」の赤子と同じ羽根を頭につけてるんだよなあ…髪型も似ている。背中に太陽背負ってるのも同じ。
これで大アルカナの解説は終わり。
次でようやく実際の占い例などの解説に入っていく。長かった。